恋愛小説好き必見!大人も楽しめるおすすめ恋愛小説7選(その1)

恋愛小説はお好きですか。
恋愛小説はみんなが頭に思い描く“恋”を疑似体験できる素晴らしいジャンルですよね。
一言で恋愛小説と言っても、その中の“恋愛模様”は様々です。どの作品を読んだら良いのか悩まれている方もいらっしゃると思います。
今回は皆さんに子どもから大人まで楽しめるおすすめの恋愛小説を紹介します!
エミリー・ブロンテ【嵐が丘】
イギリスの作家であるエミリー・ブロンテは、姉のシャーロットと並んで、同国を代表する女性作家として世界的名声を博しています。
同じ姉妹であっても、二人の作品は非常に対照的です。
シャーロットの書いたジェーン・エアと、エミリーの書いた嵐が丘は、いずれも恋愛小説の金字塔とも言える傑作ですが、両者の作風は全くことなります。
姉の作品が、禁欲的なイギリス上流階級の姿を描いているのに対し、エミリー・ブロンテの嵐が丘は、人里離れた荒野に住む富豪の娘と、その使用人の男性の長年にわたる愛憎劇をドラマチックに描いています。
主人公をはじめとするキャラクターは、愛情が高まるあまり憎悪に転じたり、激しい感情をむき出しにしますが、これは当時のイギリスでは異端とも言えることで、読者は驚きとともに新鮮な感動を味わいました。
このような作品を書いたエミリー・ブロンテは、さぞ恋多き女性だったのかと思われがちですが、彼女の人生はほとんど自宅周辺の閉ざされた世界に終始し、一生独身で生涯を終えました。
嵐が丘の激しい恋愛は、彼女の理想が表れたものだったと言えるでしょう。
ジーン・ウェブスター【あしながおじさん】
少女時代には、誰もが一度は読んだことのある名作があります。
思春期特有の初々しい乙女心が描かれたこれらの作品は、読み返すたびに少女の頃のときめきや憧れを思い起こさせるものです。
人によって、思い入れのある少女小説はさまざまでしょうが、その中でも、誰もが真っ先に名前をあげる名作が、ジーン・ウェブスターのあしながおじさんです。
このあまりにも有名なタイトルは、小説を読んだことがない人でも、誰もが一度は耳にしたことがあるでしょう。
ストーリーは、まさに全世界の少女が憧れるようなシンデレラ物語です。
身よりのない孤児の主人公が、大金持ちの篤志家の援助を受けて、希望の大学に進学し、そこで青春を満喫し、運命の男性と出会う、というあらすじです。
そして、その運命の男性が、自分をこれまで支えてくれた篤志家の男性であった、というロマンチックな筋立てが、多くの女性の心を捉えて離しません。
女性なら誰でも、自分を支えて夢をかなえる手助けをしてくれる男性に憧れるものですが、この小説は、そのような女性の願望を見事に叶えてくれる作品です。
ウラジーミル・ナボコフ【ロリータ】
何でも有りな感じの今読んでもかなりのインパクトがある小説、それがウラジーミル・ナボコフの『ロリータ』です。
タイトルからわかるように、「ロリータ・コンプレックス」という言葉が生まれる原因にもなった、中年男が小悪魔的な少女に寄せた、屈折した愛を描いた小説です。
大学教授のハンバートは亡くなった昔の恋人が忘れられず、似ている少女ドローレスに密かな恋心を抱きます。
そしてドローレスの側にいたいという邪な考えから、ハンバートはドローレスの母親と夫婦になりますが、その母親に自身のドローレスへの愛を気付かれてしまうのです。
そこから始まるハンバートとドローレスの人生の顛末は感動ではなく、モヤモヤとした読後感を読み手に与えます。
現代でこそ受け入れられていると言えるこの小説ですが、ウラジーミル・ナボコフが完成させた当初はポルノ扱いされ、発禁処分を受けた事もあります。
いかにセンセーショナルだったかがうかがい知れるエピソードです。
ちなみにロリータとはドローレスの愛称です。
正式名ではなく呼び慣れたニックネームをタイトルにしているところも、ハンバートのドローレスへの執着心を表しているように思えてなりません。
マーガレット・ミッチェル【風と共に去りぬ】
マーガレット・ミッチェルの小説に、風と共に去りぬがあります。
奴隷制度が残る時代に、南北戦争にも負けずに一人の女性が勇敢に生きていく姿がすごいです。
次々に男を虜にしていくのに、一番振り向いて欲しいアシュレには振り向いてもらえず、アシュレの相手であるメラニーの兄と投げやりに結婚をしてしまいますが、それでもアシュレを思い続けます。
アシュレの妻であるメラニーをうらみますが、色々な困難を一緒に乗り越えたメラニーを失って初めて親友と気づいたり、アシュレの事を思い続けるあまり本当の愛には気がつかず、最初から思い続けてくれたレッドも最終的に失ってしまうのです。
今の時代では当たり前ですが、女性が働く事や出産のお腹を見せてはいけない時代に、スカーレットは大きいお腹を抱えて働きます。
お嬢様にもかかわらず食べていく為に身を粉にして働き、周りに何を言われようと懸命に生き抜く姿は、壁にぶつかったり人生を迷っている女性に勇気を与えてくれる作品が、マーガレット・ミッチェルの風と共に去りぬではないでしょうか。
もっと早くこの本を読んでいれば、自分の人生が変わったかも知れない、そう思う事が出来る小説です。
堀辰雄【風立ちぬ】
「風立ちぬ」と聞くと近年ではスタジオジブリによるアニメーション映画をまず思い浮かべる人が多いでしょうが、このアニメーション映画のタイトルの元にもなったのが堀辰雄の恋愛小説「風立ちぬ」です。
アニメーション映画の方では主人公は飛行機を設計している技師ですが、恋愛小説「風立ちぬ」においての主人公は小説家であり、作者である堀辰雄自身の哀しくも美しい恋の経験が反映されています。
アニメーション映画においても主人公とヒロインの恋はこの小説の2人の恋をベースとしていました。
恋愛小説「風立ちぬ」では、偶然出会った結核の美しい女性節子と主人公の互いを愛し合い、慈しみ続けた愛の日々が淡々と、それでいてドラマチックに描かれています。
無償の愛という言葉もありますが、終焉に向かうしかない幸せな日々であることを互いに知りながら、それでも当たり前に互いを愛し続ける姿が胸を打ちます。
文中にもありますが、何も求めずにただ愛し続けた2人の短い日々は、それが終わっても輝くものでした。
川上弘美【センセイの鞄】
川上弘美の小説「センセイの鞄」で描かれるのは、主人公ツキコさんとセンセイのあわあわとした日々と恋愛模様です。
センセイはツキコさんの高校時代の恩師ですが、駅前の一杯飲み屋で再開して以来、ちょくちょく行き来するようになります。
季節は春や秋を巡り、ふたりはいろんなものを肴に酒を嗜みます。
喧嘩もすれば仲直りもするし、キノコ狩り、パチンコ屋、花見、雷鳴の梅雨の夜、島の小さな民宿、さまざまな場面が舞台になります。
川上弘美の作品では無常観がしばしば主題になりますが、この作品でも主人公は終盤で大きな喪失を体験します。
『鞄の中には、からっぽの、何もない空間が、広がっている。
ただ儚々(ぼうぼう)とした空間ばかりが、広がっているのである。
』とあります。
季節の豊かでこまごまとした描写を、このような無常観が彩ります。
日本人なら皆うなずける感覚です。
食べ物の描写が実に美味しそうに印象に残るのも、この作品だけでなく川上弘美文学の特色でしょう。
ツキコさんとセンセイはふたりで良くお酒を飲みます。
旨い肴とお酒が飲みたくなる読後感です。
田辺聖子【ジョゼと虎と魚たち】
『ジョゼと虎と魚たち』は、田辺聖子による短編小説集です。
都会に暮らす男女の心の行き交いを、どちらかといえば女性側から少しほろ苦く描いた九編が収められております。
作者の田辺聖子は、恋愛小説を中心に活動し、第50回芥川龍之介賞など数多くの文学賞を授与されている作家ですが、本作は幅広いファンをもつ田辺聖子作品の中でも人気の高い短編のジャンルの一冊です。
2003年には妻夫木聡、池脇千鶴主演で映画化され評判を呼びました。
短編集の中から、障害のある女性「ジョゼ」を描いた作品の『ジョゼと虎と魚たち』がタイトルになっております。
ジョゼは足が不自由で、車椅子がないと歩けません。
そのためほとんど外出したことがなく、人形のようになっている女性です。
ある日大学を出たばかりの恒夫とひょんなことから出会い、お互い惹かれあっていくストーリーです。
本作は人間洞察や恋愛心理、若い男の肌触りや女の発するエロスに田辺聖子氏の手練手間が感じられます。
恋愛は、現実を超えた夢の中でしか成就しないという認識が、小説に苦みや重さを与えております。
甘さだけではない恋愛が心に残る小説です。
まとめ
いかがだったでしょうか。
あなたの心を射止める作品は見つかりましたか。
恋愛小説は本の数だけ各々違った恋模様を展開してくれます。
今回紹介した恋愛小説はどの作品もあなたの心をきゅんきゅんさせてくれる事間違い無しです。
ぜひ読んでみてください。